プレスリリース

エコ住宅と省エネに関する調査

2012/06/19

今夏は昨年よりも節電する方が多い傾向  一方、”節電疲れ”を感じる方は2割強に
省エネアクション 「マイカーはエコカー」3割、「クールビズ実践」有職者の6割強

「計画停電になろうが原発再稼働に反対」5割 東海6割強、東北6割弱、近畿4割半
電力不足の解決を期待するエネルギーは「太陽光発電」 73.9%

「電気料金値上げ反対」 9割弱
支払う抵抗感が強いランニングコストのトップ3は「税金」「電気代」「社会保険料」

将来的に重要度が高まる 災害に強いエコ住宅
エコ住宅に不可欠なのはLEDや創エネシステムより「高断熱・高気密」



 カナダの高性能住宅を直輸入し全国で販売しているセルコホーム株式会社(http://www.selcohome.co.jp/)(本社:宮城県仙台市)は、2012年5月24日~5月28日の5日間、20~59歳の男女を対象に「エコ住宅と省エネに関する調査」をモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)により実施し、2,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
 東日本大震災と福島第一原発事故の発生以降、節電や省エネが声高に叫ばれるようになりました。ライフラインである電気やエネルギーの節約意識が高まり、“生活を送る場”である住宅に消費者が求めるものも変化が生じているのではないでしょうか。電力需要の高まる夏を控え、節電や省エネ、住宅選びやエコ住宅についてのアンケートを行ない、人々の生活や意識の変化を探りました。

調査結果

◆ 「日頃から節電意識が高い」6割半、女性は7割
◆ 今夏は昨年よりも節電する方が多い傾向  一方、”節電疲れ”を感じる方は2割強に
◆ 省エネアクション 「マイカーはエコカー」3割、「クールビズ実践」有職者の6割強
◆ 省エネ・エコ目的で購入したい家電のトップは「エアコン」 6位に「太陽光発電システム」


 全対象者(2,000名)に対し、《節電・省エネ・エコに関する意識・実態》についての各項目にどの程度あてはまるか質問を行いました。


 各項目について『あてはまる』(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」、以下同様)の割合をみると、【自分は日頃から節電意識が高い】で65.1%と、6割半の方が普段から高い節電意識を持っていることがわかりました。また【2011年の夏は節電を実行した】が75.3%であるのに対し、【2012年の夏は節電を実行しようと思う】では80.6%となり、昨年よりも節電を実行しようとする方が多くなっている様子が窺えます。一方、【自分は節電疲れを感じている】では23.2%と、節電に取り組むことで疲れを感じてしまった方も2割強いるようです。
 省エネのためのアクションに関する項目について『あてはまる』の割合をみると、【節電のためにクールビズを実践している】は61.0%(集計対象:有職者1570名)、【マイカーはエコカーである】が29.8%となりました。また、【企業の始業・終業時間を早めるサマータイム導入には賛成である】では、賛成派の『あてはまる』は58.0%、反対派の『あてはまらない』(「全くあてはまらない」+「あまりあてはまらない」、以下同様)は42.0%とサマータイムの導入賛成派が多数となりました。

 節電意識を尋ねた項目の【自分は日頃から節電意識が高い】について、年代別、男女別に『あてはまる』の割合をみると、年代が上がるほど節電意識が高くなる傾向がみられ、20代で55.4%であったのに対し、50代では73.4%となりました。また、女性(69.7%)は男性(60.5%)よりも節電意識が高くなりました。


 それでは、節電や省エネ・エコロジーのために、購入を検討されている家電はなんでしょうか。
全回答者(2,000名)に対し、省エネやエコ目的で最も購入したい家電を自由回答形式で質問したところ、トップは「エアコン」で17.1%となりました。電力需要の高くなる夏を控えた現在は、エアコンの購入・買い替え需要が高いようです。以下、僅差の2位で「冷蔵庫」(15.5%)、3位に「照明(有機EL/LED照明・電球など)」(4.4%)、4位に「洗濯機」(3.7%)、5位に「テレビ(液晶/有機EL/LEDテレビなど)」(3.0%)と、生活家電が上位回答で続き、6位には「太陽光発電システム(太陽光パネル・電池など)」が2.3%、7位に「EV(電気自動車)」が1.6%と、比較的投資額の多くなる創エネ・省エネ製品も挙がりました。



◆ 「今夏は大規模停電が心配」5割強、近畿地方では7割弱に
◆ 「突発的な停電への備えができている」 関東4割弱も、近畿は2割
◆ 「計画停電になろうが原発再稼働に反対」5割 東海6割強、東北6割弱、近畿4割半
◆ 年収800万以上の世帯の3割「計画停電へ備えている」 一方、300万円未満の世帯の備えは2割に留まる
◆ 電力不足の解決を期待するエネルギーは「太陽光発電」 73.9%


全対象者(2,000名)に対し、《停電に関する意識》についての各項目にどの程度あてはまるか質問を行いました。


 各項目について『あてはまる』の割合をみると、【今年の夏は大規模で突発的な停電が心配である】で53.3%、【もし、突発的に停電になっても、その備えはできている】で28.8%、【計画停電に向けて、準備ができている】で24.8%、【計画停電は景気後退の要因になると思う】 で73.7%となりました。停電の発生や計画停電による経済への悪影響を不安視してはいるものの、停電の対策はそれほど行われていない状況といえそうです。
 また、電力不足を補うための原発再稼働に対する賛否を尋ねた項目の【計画停電が実施されようとも、原子力発電所の再稼働には反対である】では、原発再稼働に反対する立場の『あてはまる』は49.9%、容認する立場の『あてはまらない』は50.2%と、意見が二分されました。

 《停電に関する意識》のそれぞれの項目について、居住地別に『あてはまる』の割合をみると、大規模停電を不安視しているかどうかを尋ねた【今年の夏は大規模で突発的な停電が心配である】では、今夏に電力が供給不足になることが予測されている近畿地方(67.4%)や九州地方(58.7%)、昨年計画停電を経験した関東地方(59.1%)が高くなりました。一方、大規模停電に備えているかどうかを尋ねた【もし、突発的に停電になっても、その備えはできている】では、昨年大規模停電を経験した東北地方(44.4%)と関東地方(38.4%)は比較的高くなりましたが、今夏の電力供給不足が予測される近畿地方(19.6%)や九州地方(16.6%)、北海道(12.5%)では低くなりました。



 また、【計画停電が実施されようとも、原子力発電所の再稼働には反対である】では、東海地方(61.2%)や東北地方(57.3%)で再稼働に反対する割合が高くなりました。浜岡原発があり、東海地震の発生も危惧されている東海地方や、原発事故のあった福島第一原発がある東北地方では、計画停電を避けるためであっても、電力不足を理由とした原発の再稼働は容認できない、とする意見が多数派のようです。また、消費電力量が多い関東地方、近畿地方では、原発再稼働に反対する立場の『あてはまる』はそれぞれ50.4%、46.0%という結果となりました。


また、計画停電に対する備えができているか尋ねた【計画停電に向けて、準備ができている】では、世帯年収の高い層ほど備えができている傾向がみられ、世帯年収が300万円未満の層では『あてはまる』が20.8%と2割に留まったのに対し、800万円~1,000万円未満の層では32.2%、1,000万円以上の層では33.7%とそれぞれ3割強となりました。電力の需給がひっ迫し、エリア毎に電力供給を停止する計画停電が実施された際には、所得に余裕がないために備えが進んでいない世帯ほど、生活への影響が深刻になるであろう状況が窺えました。


 それでは、原発や枯渇性のエネルギーによる発電を除き、将来的に電力不足の解決が期待される自然エネルギーはなんでしょうか。


 全回答者(2,000名)に対し、日本で電力不足問題を解決するために、将来的に期待する自然エネルギーは何か複数回答形式で質問したところ、最も期待が高かったものは「太陽光発電」で73.9%、次いで「風力発電」が59.5%、「地熱・温泉発電」が55.8%、「海流・波力・潮力発電」が41.8%で続きました。太陽光・風力だけでなく多種多様な自然エネルギーに電力不足解決の期待が寄せられており、これらの自然エネルギーを複合的に用いた電力不足の解決策を模索していく必要があるといえそうです。


◆ 電気料金値上げは「消費減退の要因」8割半、「失業率上昇につながる」8割弱、「節電に効果発揮」6割弱
◆ 「電気料金値上げ反対」 9割弱
◆ 支出を抑えたいランニングコスト 1位「電気代」 2位「ケータイ・スマホ代」 3位「税金」
◆ 支払額に納得感のあるランニングコスト 母親は医療・教育費が高い傾向 
◆ 支払額に納得感のあるランニングコスト「ケータイ・スマホ代」4割強、有職女性は5割弱 
◆ 支払う抵抗感が強いランニングコストのトップ3は「税金」「電気代」「社会保険料」


 全対象者(2,000名)に対し、《電気料金の値上げに関する意識》についての各項目にどの程度あてはまるか質問を行いました。


 各項目について『あてはまる』の割合をみると、【電気料金の値上げは、消費減退の要因になると思う】で84.0%、【電気料金の値上げは、国内産業空洞化や失業率上昇につながると思う】で77.2%と、電気料金の値上げが国内の産業や景気に悪影響を及ぼすと考えている方が多数を占めました。一方、電気料金の値上げが節電や省エネといった環境にやさしい生活を後押しするとする意見もみられ、【電気料金の値上げは、節電に効果を発揮すると思う】で57.6%、【電気料金の値上げは社会全体のエコ意識を高めると思う】で54.2%となりました。

 また、電気料金の値上げに対する賛否を尋ねた項目の【電気料金の値上げには、反対である】では、値上げに反対する立場の『あてはまる』が87.6%、容認する立場の『あてはまらない』が12.4%となり、値上げに反対だとする意見が9割弱で多数派になりました。
【電気料金の値上げは、社会全体のエコ意識を高めると思う】の項目について、居住地別に『あてはまる』の割合をみると、東北地方(66.1%)がそのほかの地域と比較して高くなりました。



 続いて、電気料金を含め、ランニングコスト全般についての質問を行いました。
 全回答者(2,000名)に対し、毎月の支出額が気になり抑えたいと思うランニングコストを複数回答形式で質問したところ、「電気代」が最も高く59.0%、次いで「携帯電話・スマートフォン代」が49.6%、「税金」が39.7%、「ガス代」が39.5%、「水道代」が39.0%で続きました。電気・ガス・水道や電話やインターネット通信といったライフラインにかかる支出を抑えたいと感じているようです。


 同様に、毎月の支出額で納得感のあるランニングコストを聞いたところ、「水道代」が44.9%、「携帯電話・スマートフォン代」が41.5%、「電気代」が36.7%で続きました。


 子どもがいる世帯について、医療・教育関連の支出額をみると、子どもがいる女性にとって医療・教育関連費は支払額に納得感のあるランニングコストのようで、「医療費」は27.7%、「学校の授業料、教材代」は26.3%、「給食代」は21.8%、「学習塾・進学塾の授業料・教材代」は11.2%となりました。


 また、働いている男女別に各種費用をみると、有職女性は「携帯電話・スマートフォン代」(47.4%)が有職男性(35.2%)より高くなったほか、「友人との交際費」(28.4%)や「衣類・ファッション」(25.8%)、「化粧品・美容用品」(24.1%)といった通信・交際関連の支出について、納得感があるとする割合が高くなりました。一方、有職男性では、「お酒」(17.5%)が有職女性(11.7%)より高くなりました。


 これらの“支出額が気になり抑えたいと思うランニングコスト”と“支払額に納得感のあるランニングコスト”の結果をあわせ、毎月の支出額が気になって抑えたいと感じており、納得感もないランニングコストをみると、「税金」が最も『支払い抵抗感』(支出額を抑えたいと思う割合-支出額に納得感のある割合、以下同様)が高く+25.6ポイント、次いで「電気代」が+22.3ポイント、「社会保険料」が+16.7ポイントとなりました。反対に、『支払い抵抗感』が低かったランニングコストは「趣味」(-17.0ポイント)、「友人との交際費」(-11.7ポイント)、「インターネット使用料金」(-10.7ポイント)となりました。昨年は省エネ家電やエコカー補助金、絆消費などが話題になりましたが、抵抗感が強い支出を抑えることのできる製品やサービス、抵抗感が弱い支出を刺激するものが求められているのではないでしょうか。



◆ 住宅選びで重視するポイントは「耐震性・躯体」「水まわり」「長寿命」「高断熱・高気密」
◆ 住宅選びで専業主婦は「節電・省エネ」を意識 6割半
◆ 住宅購入予備軍はエコ住宅、スマートハウスに関心
◆ 将来的に重要度が高まる 災害に強いエコ住宅
◆ エコ住宅に不可欠なのはLEDや創エネシステムより「高断熱・高気密」
◆ エコパパ・エコママの7割がエコ住宅に不可欠だと思うものは?


 ここまで、節電意識の高まりや大規模停電への危機感、支払うことに抵抗感があるランニングコストである電気料金値上げへの反感など、消費者の意識や生活実態をみてきましたが、それらを受けて、“生活を送る場”である住宅に求められているものはなんでしょうか。


 全対象者 (2,000名)に対し、住宅選びで回答者自身が大切だと思っていることを複数回答形式で質問したところ、「耐震性・躯体・工法」が79.2%で最も高くなりました。次いで「水まわりの設備」が66.7%、「耐久性・長寿命」が65.8%、「高断熱・高気密によって冬暖かく夏涼しいこと」が63.8%で続きました。また、家庭内で生活の多くの時間を過ごす専業主婦(主夫)は、「水まわりの設備」(73.5%)や「高断熱・高気密によって冬暖かく夏涼しいこと」(70.6%)、「節電・省エネ」(65.4%)、「結露防止」(55.5%)、「素材」(50.7%)などの項目が高くなりました。専業主婦(主夫)が料理や洗濯などを行う場である水まわりの設備はもちろん、節電・省エネや結露防止に関連して、断熱性・気密性、住宅素材などに関心を寄せているようです。


 住宅購入予定時期別にみると、住宅購入予定が近い方ほどエコ住宅やスマートハウス関連の項目を重視しており、住宅購入予定時期を「3 年以内」と回答した住宅購入予備軍(99名)では「太陽光発電システム等の創エネシステム」が37.4%、「オール電化」が25.3%、「電力消費がIT技術で制御されていること」が22.2%となりました。


 同様に、住宅選びで将来的に重要性が益々高まると思うものを複数回答形式で質問したところ、「耐震性・躯体・工法」が最も高く79.0%、次いで「節電・省エネ」が68.9%、5割台で「太陽光発電システム等の創エネシステム」(58.3%)、「高断熱・高気密によって冬暖かく夏涼しいこと」(58.2%)、「光熱費等のランニングコスト」(57.7%)、「耐久性・長寿命」(57.5%)、「耐火性」(54.7%)が続きました。主に、[1]災害に強く丈夫で長持ちする、[2]創エネ・省エネが実現でき、ランニングコストを抑えることができる、といった住宅の重要性が高まっていくと考えられているようです。



このように、節電・エコ意識の高まりや停電への危機感を受けて、重要性が高まりつつあるエコ住宅について、消費者が重要視しているものはなんでしょうか。全回答者(2,000名)に対し、エコ住宅において本質的で不可欠だと思うものを複数回答形式で質問したところ、「省エネ性、高断熱・高気密等の高い住宅性能」が67.1%で最も高く、次いで「LED照明」が58.0%、「躯体の耐久性・長寿命」が53.8%、「太陽光発電システム等の創エネシステム」52.7%、「光熱費や劣化によるリフォーム等のコスト軽減」が51.1%で続きました。LED照明や太陽光発電システムなどの、省エネ・創エネ設備も重視されていますが、それらよりも断熱性や気密性など住宅自体の性能が高いことが不可欠だと考えられているようです。


 また、エコ意識が高く(【自分は日頃から、エコロジーな生活を心がけている】にて、『あてはまる』と回答した方)、子どものいる男性(以下、エコパパ)と女性(以下、エコママ)がエコ住宅において本質的で不可欠だと思うものをみると、エコパパ、エコママともに、「省エネ性、高断熱・高気密等の高い住宅性能」が全体より高く、それぞれ70.8%、69.2%と7割に達し、エコ住宅にとって最も本質的で不可欠な要素だと判断しているようです。また、その他の項目では、エコパパは「躯体の耐久性・長寿命」(58.4%)や、「太陽光発電等の創エネシステム」(59.8%)、「高効率給湯器」(35.2%)が全体より高く、エコママは「節水型トイレ」(57.4%)や「家庭用燃料電池」(40.0%)、「ホルムアルデヒドフリーの塗料」(29.8%)が全体より高くなりました。普段からエコロジーを心がけている家庭では、エコ住宅に求めるポイントも多くなるようです。


注:本調査レポートの百分率表示は四捨五入の丸め計算を行っており、合計しても100%とならない場合がございます。